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宇宙線による半導体影響の評価・対策

世界中の通信設備で起こる突然のエラー
その原因であった宇宙線量子の謎を
解き明かす

岩下 秀徳宇宙環境エネルギー研究所

NTTをはじめとする世界中の通信設備で発生し続けていた、突然のメモリエラー。
誰もその原因を突き止めることができず、対策も後手に回り続けてきた。
“量子×通信"という個性を有した岩下秀徳らの挑戦によって、そのエラーの原因が宇宙線起因の中性子であることや、
中性子とエラーの発生特性が明らかにされ、その対策も実現する。通信環境を守るために「宇宙」にまでも目を向ける、
岩下の挑戦はいったいどのようなものだろうか。

エラーの原因を突き止める

学生時代、加速器において中性子をいかに効率良く発生させるか、その中性子源の研究や中性子ビームの効率的な制御手法の研究などを行ってきた岩下は、NTTが生み出す高性能・高品質な通信システムに関心を寄せ、自らも世の中に大きく貢献したいと考えNTT研究所に入社を果たす。現在は宇宙環境エネルギー研究所に所属しているが、入社当初は、動機のとおり通信装置の一種である伝送装置の開発に従事し、全国に導入された装置の維持管理業務にあたっていた。
「全国の伝送装置をチェックすると、メモリのエラーがよく発生していました。しかし装置の製造元である工場に送っても、その故障は再現しません。ハードウェア自体には異常がなく、何らかの異常が発生していることが想定されました」
再起動やデータの上書きで修復できる一時的なエラーとはいえ、通信設備を運用していることを考えればクリティカルな障害の要因にもなりかねない。岩下は丁寧にその原因と対策を探り、そのうち、20年前に発表された一本の論文にたどり着く。
「当時、人工衛星で同様のエラーが発生し、その原因が宇宙線であることが突き止められていました。当時、地上の装置ではそれほど話題になっていませんでしたが、半導体が高集積化を果たすことにより、同様のエラーが起こりやすくなっていたのです」
岩下は中性子線によるソフトエラーの原因究明に乗り出した。

ソフトエラーを遂に再現する

宇宙から降り注ぐ放射線は、大気中の窒素や酸素に衝突することで中性子を発生させる。その中性子が電子機器の半導体に衝突すると、保存されたデータが書き変わる現象「ソフトエラー」を引き起こす。岩下の研究は、まず理論上提唱されているその現象を人工的に再現し、その対策を考えることになった。
「私が確認してきたソフトエラーは、中性子の衝突によるものだろうという見当はついていました。しかし、まだ現実に確認はできていません。そこで加速器を持つ北海道大学に協力を依頼し、実際にエラーを再現し、確認することにしました」
2012年、加速器を使い中性子を発生させ半導体へ衝突させる実験を実施すると、岩下の想定どおり、理論上示されていたエラーが再現された。やはり中性子線による影響がエラーを発生させていたのだ。
「実験により再現を成功させたことで、通信装置導入前にエラー対策を試行できるようになりました。もしエラーが検出できないままであれば、通信遮断時の装置切り替えに支障をきたすなど、大きな影響が出ていたかもしれません」
それまで確認されていなかったエラーの発生機序を明らかにできたことにより、その後、加速器を用いた試験、装置の修正を繰り返し、全国の通信装置には自動的にほぼすべてのソフトエラーを回復できるような対策が施され、以前のような障害がなくなった。また、この技術はNTT-AT社との協業でサービス化も果たす。しかし、サービスインによって岩下らの取り組みは終わるわけではなかった。まだ、挑戦しなければならないことも残っていた。

宇宙空間でのエラー対策を見据える

ソフトエラー対策で重要なのは、一日に何回故障するかといった、時間当たりのソフトエラーによる故障数を把握することだ。しかし、ソフトエラー故障数は、地上・上空・宇宙などの環境によって変わってくる。環境ごとのソフトエラー故障数を算出するためには、その発生率のエネルギー依存性(中性子が持つエネルギーごとのソフトエラーの発生率)の詳細なデータが不可欠だ。
従来までは、特定の中性子エネルギー領域について飛び石的にしか影響を観測することができず、正確なソフトエラー故障数を算出することが困難だった。そこで岩下らは10億分の数秒(数ナノ秒)単位でソフトエラーを検出できる高速エラー検出回路を開発し、米国ロスアラモス国立研究所の高出力 800MeV陽子線形加速器施設を訪れて、世界で初めて連続的な中性子エネルギーごとのソフトエラー故障数の観測を行った。(関連ニュースリリースはこちら
「今回の実験では、地上だと百万年分に相当する中性子を30時間で照射しました。夜中にも測定できるように自動でソフトエラーを回復しデータを取得するようにプログラムも開発し、その成果もあって何万回ものエラーデータを取得し、ソフトエラーの発生率と中性子エネルギーの関係について、連続的でより精緻な関連を見出すことに成功しました」
今回、中性子エネルギーを連続的に観測するには、100億分の1秒という非常に短い時間で中性子を発生させ、20m飛行させた時の時間を測定する「飛行時間法」という手法を用いたソフトエラー率の測定技術の確立や、ナノ秒単位での観測を実現した回路の開発が不可欠だった。
学生時代の専攻も踏まえ、独自の視点と技術を有した岩下のチーム、そしてその挑戦ができるNTT研究所だからこそ、この実験成果が生まれたとも考えられる。この挑戦により、これからさらなる高集積化を果たしていく地上の機器はもちろん、宇宙線が多く降り注ぐ上空、宇宙データセンタ、またはほかの惑星や衛星など、あらゆる環境における中性子によるソフトエラー故障数を算出できるようになった。
宇宙環境エネルギー研究所という新しい研究組織の設立により「これまでにない新しいチャレンジングなテーマに取り組むことができます」と話す岩下。“宇宙空間でソフトエラーがなくなる高度な対策技術”を開発し、高集積化機器の利活用、ネットワーク社会の安定化に向け、今も新しい挑戦を続けている。

Profile

岩下 秀徳
2008年入社。
本技術の確立により国内メーカーの信頼性向上に貢献できることがうれしいと話す。

※社員の所属組織などは取材時のものです。

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