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旬な研究

触覚を使って
コミュニケーションの本質を探る

コミュニケーション科学基礎研究所
渡邊 淳司

人間の回路について考える

大学でVRの研究をしていた当時、渡邊は恩師から「二つの回路」について教えを受けたという。「一つは機械の回路、もう一つは人間の回路です。人がコンピュータなどと向き合った時、どういうことを感じ、どう振るまうのかまで考えなければ、テクノロジーの設計はできないぞという話でした。この時に教わったことが今の研究の始まりになっています」
その後NTTに入社し、現在は「人間の回路」という視点から、コミュニケーションの本質を見極める研究を進めている。
「例えば、ある画像を見ているとします。そこに写っているもの自体が大事であれば、画像の解像度を上げることが必要です。一方で、物の素材感かもしれませんし、温度かもしれません。あるいはもっと別の何かかもしれませんが、画像や言葉とは別に伝えられるべきコミュニケーションの本質について、実験やワークショップなどを通じて検討しています」

コミュニケーションにおける"How"

例えば、視覚に障がいがある方と共にテニス中継を楽しむ試みを行った際に渡邊らが取った手法(詳細はこちら)は、片っ端から言葉に換えて動きを実況するものではなかった。向き合って座る伝え手と視覚に障がいのある方の膝の上に丸板を渡し、伝え手がボールの動きと連動しながら板を叩いて音を出し、アウトになれば板を跳ね上げるといった方法でテニスを表現した。情報の受け手である視覚に障がいがある方は、まるで球の行方を追うように首を左右に振って観戦していたという。
コミュニケーションの本質を追究するさまざまな試みの中で渡邊が重視しているのが「触覚」や「触感」だ。
「触覚というのは意識に上らず、無意識に感じていることが多い感覚です。言ってみれば、ボーッとした感覚ですが、頭の先から足の先まで非常に広い範囲をモニタリングしていて、例えば何かに当たるなど予測に反した際には強く反応します。コミュニケーションの場では、視覚や聴覚は何を表現しているのかという“What”に対応しますが、触覚はどう表現しているのかの“How”に対応します。この“How”に関わる感覚を用いて、新しいコミュニケーションの在り方を考えています」

無意識という自分の中の他人

渡邊が関わるプロジェクトに、心臓の拍動にあわせて振動する箱に触れるワークショップ「心臓ピクニック」がある。胸に当てた聴診器から心拍を感知し、同じリズムで箱も拍動する。箱を持った相手は、対面して座る人の心拍を体感できるというものだ。
こうした研究はコミュニケーションの場の在り方を変換し、人と人との関わりの中にどんな本質が存在するのかを私たちに再考させる機会となる。例えば西洋であれば初対面で握手をするのが一般的だが、日本人は握手という接触よりも場の「空気」や「和」を重んじる。そこにいきなり、握手よりも相手のコアな情報である拍動が伝えられたらどうなるのか。
「拍動は、人間が一番他人に渡さないであろうものですが、それをいきなり渡してしまうコミュニケーションは一体どうなるのか、非常に興味深いところです。これまでテクノロジーは人間の活動効率を上げることを考えてきました。しかしその一方で人がどう感じるかは置き去りにされがちです。そうではなく、テクノロジーを活用しながら人間の『良き状態』を見定めるアプローチというものがあるべきだと考えています」
居心地に関わる「人間の回路」は無意識下に大きく横たわる。コミュニケーションの本質を洗い出すことによって、渡邊が言うところの「無意識という自分の中の他人」にどういったアプローチを試みるのか。二つの回路に関わる渡邊の挑戦は今日も続いている。

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「心まで伝わる」コミュニケーションの実現をめざして、
人間と情報の本質に迫る基礎理論の構築と
ICT社会に変革をもたらす革新技術の創出に取り組む

コミュニケーション科学基礎研究所では、「情報」と「人間」を結ぶ技術基盤を刷新し、心まで伝わるコミュニケーションを実現するため、メディア処理・知識処理などの情報科学と、認知神経科学・脳科学などの人間科学の両面から基礎研究に取り組んでいます。基礎数学分野も含めた、新概念の創出・新原理の発見による学術貢献および、新サービスにつながる革新的技術の創出による社会貢献をめざしています。国内はもちろん、海外の主要大学・研究機関とも幅広く連携して研究を行っています。

※記事本文中の研究所名や社員の所属組織などは取材時のものであり、旧研究所名の場合がございます。

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