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次世代の高速大容量通信を支える光変調器開発

デバイスイノベーションセンタ
小木曽 義弘、尾崎 常祐

高速で情報が不自由なく流通する世界

IoTをはじめ、身の回りのさまざまなものがインターネットにつながり、情報をやりとりする時代が訪れつつある。小木曽や尾崎らは、そんな新しい時代を支えるべく、高性能の光変調器や光送信機の研究開発に励んでいる。
「この世にある無限の情報を何不自由なく伝えられるようになれば、それは一種の『テレポーテーション』とさえ言えるのではないかと思っています。究極的に高速な光変調器の開発は、そんな未来を実現する上で不可欠な技術です」(小木曽)
光変調器とは、電気信号を光信号に変換する装置のことだ。例えば前近代において、ライトの光を点滅させることで陸地から海上へ通信を行っていたとする。現代の光通信では、その点滅を1秒間で数億、数十億回もの超高速で行うのが光変調器で、その変調器を組み込んで光信号を送信する装置が光送信機だ。
「光変調器や光送信機の開発は、今後、5Gをはじめ、必ず進んでいく大容量通信のバックボーン通信を支える重要な技術です」(尾崎)

「職人の感性」と「最先端加工技術」で世界最高速の変調器を実現

小木曽が現在、開発に取り組んでいるのはInP(リン化インジウム)を素材とした半導体を用いたマッハツェンダー型光変調器だ。回路上を通る高速の電気信号をいかに損失させずに光信号に変換するかには、InP半導体をどのような形状に加工するか、その加工技術が大きな鍵を握る。
「光変調器は電気光学効果を用いて光の屈折率に変調を加える装置ですが、現在、私たちが研究しているものでは、半導体を3D的に削って光の導波路を形成するためInP半導体の形状が大きな影響を及ぼします。非常に複雑な形状を構築することが必要で、極めて繊細な作業が必要となります」(小木曽)
ミクロの世界での非常に繊細な半導体構築について、小木曽は「職人の世界です」と笑う。しかし最先端の理論を形に変え、未来の通信を導くその技術は、決して誰にでもできるものではない。
「もちろんセンスが大切な分野です。ただしこの分野において理論を形にするには、設備が重要です。NTTには国内には類を見ないほど、世界に誇れる充実した設備が整っています。この設備があるからこそ、最先端の技術を追究することができています」(小木曽)

世界トップクラスの研究者と共に

尾崎は変調器を含め、光送信機の設計を通じて新時代に要求される性能の実現をめざしている。 「通信に求められる速度要求は、ますます高まっていますし、光デバイスに関する研究は世界で激しい競争が繰り広げられています。そうした厳しい環境にあるからこそ、開発に対するモチベーションも高く、毎日、挑戦しがいのある研究に向き合うことができています」(尾崎)
日々、計算とシミュレーション、そして研究者同士のディスカッションを繰り返し、尾崎は世界の研究者としのぎを削っている。
「より高速化をめざすには、加工精度が鍵なのか、半導体の材質が鍵なのか、あるいは違うところにあるのか。今の技術であれば、どこまでできるのか。性能の向上をめざす上で検討する材料は豊富にあります。世界トップクラスの研究者が揃う環境で最先端の研究に従事できるだけではなく、実用化まで経験できるNTTの環境にはとてもやりがいを感じています」(尾崎)

※写真左から尾崎 常祐、小木曽 義弘

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