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旬な研究

マクロ環境下での量子現象の確認

物性科学基礎研究所
齊藤 志郎、角柳 孝輔

超伝導リングにおける非実在性を示す

観測された物の状態が、観測前から確定していることを「実在性」と呼ぶ。例えば伏せた紙コップの下にサイコロがある場合。紙コップを開いた時の目が「1」ならば、開ける前からサイコロは「1」を示していたと考えられる。これが「実在性」だ。日常の世界では常識的なことのように感じられるが、量子力学で記述されるミクロの世界においてはその「常識」が破られ、「非実在性」が現れることが知られている。それではその「非実在性」は、我々の日常に近い大きな世界でも確認することができるのだろうか。
齊藤と角柳はマイクロメートルサイズの超伝導磁束量子ビットを用いて、電子や原子に比べ、はるかにマクロな世界における非実在性の成立を示した。
「ある一定の条件を満たした超伝導のリング(超伝導磁束量子ビット)では、右回りに流れる電流と左回りに流れる電流が重ね合わされていることがこれまで理論的に知られていました。そして、もし実在性が成立していれば、電流の観測値の相関によって表される「レゲット・ガーグの不等式」が満たされます。つまり逆にこの不等式が成立しない実験結果を示すことができれば、それは超伝導リングの中で、<実在性が成立していない=非実在性が成立している>ことになるのです」(齊藤)

手法の進化と理論の進化

科学の世界は理論の提唱とその実証を繰り返して進化する世界でもある。レゲット教授が超伝導リングでの電流の重ね合わせを提唱したのは1985年。その後、30数年間、超伝導リングを用いた実験で「レゲット・ガーグの不等式」の破れが示されることがなかったのは、それだけ量子情報技術の確立が困難であることの証でもある。今回、齊藤や角柳らが結果を示すことができたのは、一つには量子の状態を破壊せずに読み出しを実現する量子非破壊測定法の進化もあるが、もう一つは理論チームが不等式と等価な条件を導き出し、それを実験に用いることができた成果でもあるという。二つの成果があって、これまで理屈でしか理解されていなかった現象が実際に起こっていることを証明することができたのだ。
「NTTはレベルの高いプロの研究者が集結し、議論を通して研究を進めたり、新たな知見を得られる場です。研究設備も充実しており、熱意をもって研究に専念することができています」(角柳)

量子情報技術が確立する未来へ

今回の実験で重要な鍵となったのは測定精度だ。これが高くなければ、不等式が破れる実験結果も単なる測定エラーにすぎない可能性を否定できなくなる。齊藤や角柳らは、ノイズや観測の不完全性による乱れを定量的に評価するためのコントロール実験を繰り返し行い精度を高め、超伝導リング下での電流の振る舞いが非実在性を示していることを実際に証明してみせた。
「今回、量子コンピュータや量子シミュレータの基本素子である超伝導磁束量子ビットが真の量子性を持ち、量子デバイスとして動作し得ることを証明できました。今後の量子情報技術研究に大きく貢献できるものだと思います」(角柳)
「今後はこの技術を応用し、量子センサーのようなデバイスにも挑戦し、さまざまな状況における量子の振る舞いを制御する技術につなげられればということも考えています」(齊藤)
量子コンピュータなど、量子情報技術が確立する未来へ。NTTでは今まさに次代を切りひらく研究が行われている。

※写真左から斉藤 志郎、角柳 孝輔

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10年~20年後を見据え、従来の技術の壁を超える
新原理・新コンセプトの創出をめざす

物性科学基礎研究所では、未来の産業の種となる新原理・新技術の創出による事業貢献に加え、普遍的知見の獲得による学術的貢献をミッションとして、材料科学、機能物性科学、量子科学の分野を中心に基礎研究を行っています。世界各国の大学や研究機関とも幅広く共同研究を進め競争力の強化を図るとともに、量子物理に関する国際会議や世界の若手研究者を対象としたスクールを主催するなど、「開かれた研究所」としての役割も果たしています。

※記事本文中の研究所名や社員の所属組織などは取材時のものであり、旧研究所名の場合がございます。

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